無意識の構造③一貫性の原理

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なぜ人は、間違いに気づいても引き返せないのか

人は、自分を「一貫した存在」として理解したい。

昨日と言っていることが違う。
以前の選択を後悔している。
考えが変わっている。

そうした状態は、どこか落ち着かない。

だから私たちは無意識に、
「前と同じ方向」を選び続けようとする。

それがたとえ、違和感を伴っていても。

これが——
一貫性の原理である。

一貫していたいという欲求

一貫性は、本来とても健全な働きだ。
• 信頼を生む
• 関係を安定させる
• 自己理解を助ける

もし人が毎日まったく違うことを言い、
すべての判断を簡単に覆すなら、
社会は成り立たない。

だから一貫性は、人格の骨格とも言える。

だが——
骨格は、ときに私たちを縛る。

引き返せない理由は「間違い」ではない

例えばこんな経験はないだろうか。

もう意味がないと感じているのに、続けてしまう。
合わないと分かっているのに、離れられない。
違うと思いながらも、以前の発言を守ろうとする。

ここで人はよく誤解する。

「自分は間違いを認められないのだ」と。

だが本質は少し違う。

私たちが守ろうとしているのは、
正しさではない。

“これまでの自分”である。

過去の選択を否定することは、
過去の自分を否定するように感じられる。

だから引き返すことは、
単なる方向転換ではない。

小さな自己崩壊のように感じられる。

無意識は、それを避けようとする。

とても自然な反応だ。

一貫性が「選択」を静かに奪うとき

問題が生まれるのは、
一貫していることが目的になった瞬間だ。

本来は選択の結果だったはずの方向が、
いつの間にか義務のようになる。

「ここまで続けたのだから」
「いまさら変えられない」
「前にそう言ってしまったから」

その言葉の中で、
現在の自分の感覚が小さくなっていく。

そして気づかないうちに、
過去の自分に従い続ける。

一貫性は支えでもあるが、
ときに静かな拘束にもなる。

凪は、過去から距離を取る場所である

凪とは、迷わなくなる状態ではない。

むしろ逆だ。

もう一度、迷えるようになる状態。

過去の選択。
これまでの物語。
積み重ねてきた自己像。

それらすべてを一度だけ、
少し遠くから眺める。

すると、静かに問いが立ち上がる。

「もし今日、はじめて選ぶとしたら——
私はどうするだろうか」

この問いが戻ったとき、
選択は再び現在に開かれる。

変わることは、不誠実ではない

私たちは時々、こう恐れる。

変わることは、裏切りではないか。
一貫していない自分は、信用されないのではないか。

しかし本当の不誠実は、
違和感に気づきながら見ないふりをすることかもしれない。

人は変わる。

経験し、揺れ、理解が更新される。

もし一切変わらないのだとしたら、
それは成長ではなく停止に近い。

一貫性とは、
同じであり続けることではない。

その時々で、誠実に選び直していくこと。

そう考えると、
変化と一貫性は矛盾しない。

むしろ深いところでつながっている。

人は、選び直すことができる存在である

過去は消えない。
だが未来はまだ決まっていない。

どれほど長く続けてきた道でも、
どれほど強く語ってきた信念でも、

人には静かに方向を変える力がある。

それは弱さではない。

むしろ主体性の表れだ。

凪とは、
その力を思い出すための小さな余白である。

引き返すためではない。
誰かを否定するためでもない。

ただ、もう一度選ぶために。

私たちは——
選び続ける存在なのだから。

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この記事を書いた人

感情が揺れやすく、思考が止まりやすい時代に、
立ち止まり考え続けるための“凪”をつくる発信をしています。

説得しない。
ただ、考え続けられる場所に立つ。

人は、選ぶ存在である。

—— 凪=選択可能性が最大の認知状態

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